村の結婚式は美の決戦場 in スリランカ

  • 2014/09/30
  • Sri Lanka

日中は空が高く青く、日の光を浴びると肌が焼けるよう。こんな日の夕暮れは格別で、見上げた空も街も子どもたちの笑顔も、すべてが金色に染まります。

そんなスリランカは、今、結婚式の季節。親戚、友人、お勤め先、そしてご近所さんまで、数名ずつ、ではなくすべての方をまるまると招待してしまうのが現地流ですから、筆者もあちこちへお呼ばれすることに。

今回は、観光では行けない、ローカルの結婚式をご紹介いたします。後半では、地元の人に愛される、アジア情緒たっぷりの床屋さんを一緒に覗いてみましょう。

ゆったりとしたスリランカ時間へ。さぁ、ご案内いたします。

金の腕輪に首飾り、会場で一番美しいのはわたし。

結婚式の会場に一歩足を踏み込めば、真紅、黄金、コーラルに緑。鮮やかな色の洪水に目がくらみそう・笑。日本の結婚式では、「新婦さんに花を添える、控えめで上品な装い」が大原則だったはず・・スリランカでは、気合十分、日本の常識では考えられない艶やかな装いで、出席者たちが集結します。

そう、結婚式は晴れ舞台。「会場で一番美しいのは、わたし!」なのです・笑。

この日、もちろん義理の母は早朝から美容室へ。遠い親戚の結婚式ですが、真紅の造花を散らしたアップスタイルRs. 450 (約360円)、眉のカットRs. 150 (約120円)、口ひげの処理 Rs. 200 (約160円)、そしてテープで目じりをぐっと上げるお直し付きメイク Rs. 300 (約240円)は欠かせません。家族は、舞台化粧的フルメイクに衝撃を受けていましたが、本人は大満足の笑顔。日本のように、自然で美しいメイクができる美容師さんがいれば、と遠い空を見上げる筆者でした。

本日の会場は、世界遺産の仏歯寺で有名な古都キャンディから近い、のどかな村。ふだんは、娯楽もなく、家事や仕事を繰り返すだけの単調な毎日ですから、晴れの舞台となれば老いも若きも、箪笥から一番鮮やかなサリーを引っ張り出し、腕にはありったけの金の腕輪を飾ります。そしていざ、「足し算」だけの盛りに盛った装いで、結婚式会場へ。

さて、定刻に到着しても遅れても(笑)、会場では粛々と婚姻の儀式が執り行われています。新郎新婦、そしてその親族一同を固く結びつけるため、また、今まで育ててくれた両親へ感謝を示すための様々な儀式が、緊張した空気のなか続きます。祭司様が、新しい夫婦の指を白い糸で結び、聖水を注いで祝福を与えたとき、新婦のお母様がそっと涙をぬぐうのでした。

その間、大多数の女性出席者たちが行っているのは、他の出席者のファッションチェック・笑。サリーの質や着付けの状態、ヘアスタイルや手にしているバッグまで、細かにじっくりと品定め。都会のマダムとは違って、密かにさりげなく行うのではなく、もう、ほんとあからさまに・笑。

さて、一連の儀式が終わると場が一気に緩み、あちこちで歓談する声が聞こえます。そして、飲み物が運ばれ、食事の時間となると、待ちに待った大宴会のスタートです。笑い声、食器の音、そして大音量のBGM。お酒で気分の良くなったおじ様たちがダンスフロアで踊りだし、子どもたちがテーブルを縫ってプチ運動会を始めます。

初めて出席したときは、その様式の違いに大きなカルチャーショックを受けましたが、お呼ばれすること数十回。出席者の誰もが、顔を上気させておしゃべりし、思うままに着飾って、呑んだり踊ったり、笑ったり。こんな結婚式も、何だか「あり」だな、と思うようになった筆者でした。

延々と続く宴を後にするとき、(酔って踊っているおじ様たちを除いて・笑)会場中の人たちが、手を振りいつまでも見送ってくれました。のどかで美しい田園風景に重なる、村の結婚式の思い出です。

隠れた繁盛店!地元の人々に愛される床屋さん

さて、独特のアジア情緒を醸し出し、いつでも客足の絶えない、かねてから気になるお店があるのです。その名は「The Right Salon (直訳で、正しいサロン・笑?)」。そこは、女性、ましてや外国人が足を踏み入れることのない、地元男児の花園。勇気を出して、お邪魔してきました・笑。

少々緊張しながらお店に入ると、女性の来訪が珍しいのか、筆者の5倍増しで緊張してしまったオーナーさん。はにかんだ笑顔を見せると、こっそり棚の影へ隠れ、静かに髪をとかし始めたのでした・笑。そんなオーナーを横目に店内を見渡すと、スタイリング席3席と、背もたれの無い待合用の長いす、小さな棚を並べただけの、実にコンパクトなお店です。

タイルが剥がれ、コンクリートむき出しのフロアも印象的ですが、一番注意を引くのは壁に飾られたお釈迦様の絵や小さな仏像でしょう。スリランカでは、自宅や会社の一室、レストランやお店、そして学校の教室にまでお釈迦様の絵や仏像を祀り(キリスト教の場合は、イエス様の絵や像となります)、毎日の平安や繁栄を願います。

近年では、「信仰に関わらず、広い層のお客様に来店していただきたい」と、あえて信仰を表に出さないお店やレストランが増えていますが、まだまだ広く行われている慣習です。

「マチャン!(兄弟の意味で、親しい友人同士で呼び合う言葉)」と言いながら、威勢よく入ってきたのは20代の男性。美容師さんは、予約を確認をせず、洗髪もせず、軽口をたたきながら早速ヘアカットを始めます。

まずはハサミを入れつつ、鏡で確認しながら、熱心かつスピーディーに希望のスタイルに整えてゆきます。写真のお客様はこの日、モヒカンに刈上げを組み合わせたこだわりの(笑)スタイル。カットはRs. 120 (約95円)、髭剃りはRs. 100 (約80円)と、現地感覚でもとってもお得な料金設定です。

プール付の豪邸に住む人々や、街頭で物乞いに立つ人々。大きな経済格差があるスリランカです。庶民感覚のカット料金を聞き、先日飲んだ一杯Rs. 600のコーヒーの味を、ちょっぴり苦く思い出すのでした。

数分も経たずに、お客様が続々と来店します。3席しかないお店はすぐに満席となり、小さな長いすの待合席では間に合わず、お店の外で待つお客様が・・どの方も急ぐ様子を見せず、美容師さんと立ち話をしたり、しわくちゃになった新聞を読んだり。悠々と待ち時間を過ごします。

ヘアカットに要する時間は、一人あたりおよそ15分。ちょっぴり年季の入ったスタイリング席はくるくると回転し、筆者がいる間、お客様が途絶えることはありませんでした。このお店では、数週間に一度、もしくは1ヶ月に一度来店するお客様が多いとのこと。(でも、「本当は適当~♪」だそうです・笑)

ローカル風味たっぷりの小さなお店は、お財布に優しくて仕事が速い、地元の方に大人気の繁盛店でした。

お店を出ると、外はちょうど美しい夕暮れ時。仕事帰りなのか、ちょっぴり疲れた表情の人々が、スーパーの袋を片手に帰路を急いでいました。

気持ちばかりのチップに、きらきらとした笑顔を見せてくれた美容師さん。The Right Salonは、普通の人の、普通の暮らしを見せてくれたような気がします。

では、次回の更新まで、どうぞみなさま充実した毎日を。

*結婚式の様式は、階級または信仰により大きく異なります。今回の記事では、「シンハラ人仏教徒、地方の村の結婚式」をご紹介しています。






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