インドネシアのバナナ

  • 2016/09/19
  • Indonesia

バナナは何色?

日本の子供たちに「バナナはどんな色?」と質問すれば、ほとんどの子は「黄色」と答えると思う。先日、幼稚園に通う息子に同じ質問をしてみたところ、彼は少し悩んで「緑」と答えた。再び「黄色じゃないの?」と問えば、「黄色もあるね。でも緑もあるよ」と答える。

そう、インドネシアには日本でお馴染みの黄色いバナナ以外にもいろんな種類のバナナがあるのだ。

市場に並ぶバナナ

緑のバナナ

インドネシアで一番ポピュラーなバナナはピサンヒジョウ(緑のバナナ)というバナナで、これは日本で売られているフィリピン産のバナナと近い種類だ。ちなみにピサンとはバナナのことだ。ピサンヒジョウは名前の通り緑色のまま完熟する種類のバナナで、市場では毎日売られている。味は日本で売られているバナナと同じく甘みが強いため、インドネシアでは赤ちゃんの離乳食に使うことが多い。

形も大きさもばらばらだ

揚げバナナのためのバナナ

東南アジアの国のお菓子といえば、揚げバナナが有名だと思う。揚げバナナはインドネシアにもあるし、フィリピンにもブルネイにもマレーシアにもある。インドネシアの揚げバナナは家庭によっていろんなレシピがあるけれど、我が家では、シンプルに小麦粉と砂糖を水で溶いた衣にくぐらせたバナナを揚げて作る。実は揚げバナナで重要なのは衣ではなくて、バナナの種類なのだ。揚げバナナ用のバナナは、インドネシアではピサンタンドゥック(角のバナナ)やピサンカパス(コットンのバナナ)が使われる。これらは日本の調理用バナナに似ていて太くて長い。ピサンタンドゥックは熟してくると黄色の皮に黒い斑点が出てくるから、真っ黒になった頃に揚げて食べるととろりと甘い揚げバナナができる。揚げバナナは朝食前に軽食として食べることが多い。栄養満点なので子供たちのおやつにも最適だ。

我が家の揚げバナナ

ろうそくのバナナ

揚げバナナの他には、蒸しバナナもある。蒸しバナナには揚げバナナ用のバナナやピサンリリン(ろうそくのバナナ)を使う。ピサンリリンは果実の中心に固い芯が通っていて、小振りのバナナだ。蒸しても形が崩れないので、蒸し器の中にそのまま入れて調理する。

まるで芋のような食感

もうすぐ始まる断食月によく作られるコラック(ココナッツミルクで果物を煮たおやつ)には、ピサンナンカ(パラミツのバナナ)が使われる。ピサンナンカはパラミツに似た独特の香りが特徴的で、コラックにとてもよく合う。

南国らしい香りと甘さのデザートだ

バナナを使ったお菓子がたくさん

これらの他、さくさくの生地でバナナを巻いた揚げバナナの仲間のピサンモレンや、緑色のクレープでバナナを巻いたピサンイジョ。米粉で作った生地の中にバナナを入れて蒸したナガサリや、バナナを素揚げして塩味や甘く味付けしたクリピックピサン。バナナをパイ生地で包んだお菓子や、バナナをバターで焼いてコンデンスミルクやチョコレートソースやチーズをかけたピサンバカール。などなど、バナナを使ったお菓子は山ほどある。

クリピックピサンを売るお店

インドネシアのパン屋さんで一番人気なのは、バナナを巻いたロティピサンだ。ロティピサンには高温で焼いても形が崩れない甘みの少ないバナナが使われている。一方、バナナケーキにはバナナ味の生地を作るために柔らかい完熟した甘いバナナが使われる。

調理用バナナのピサンタンドゥックは皮が真っ黒になっても美味しい

ピサンタンドゥックで作った蒸しバナナ。甘酸っぱくて美味しい

バナナの特徴を生かしたお菓子作り

インドネシアでは用途に応じていろんなバナナを使い分けているのだ。バナナの葉っぱも、種類によって違いがあるらしく、蒸すときには蒸しても葉の色がきれいなピサンクルトゥックの葉を使う。ピサンクルトゥックの果実はすりつぶしてルジャック(お酢を使った汁に果物を漬けた甘辛いおやつ)に使うと美味しいそうだ。

カリカリの皮で包まれたバナナのお菓子

いろんな種類があって、それぞれに適した料理に使われるインドネシアのバナナたち。人間の好みに合わせて品種改良の末に作られた作品のようなバナナとは違い、それぞれの種類が個々の特徴を持っている。それぞれの特徴を生かす工夫をして、美味しいバナナのお菓子の文化を築いてきたインドネシア人は素敵だと思った。

王様のバナナ

インドネシアには、生食用バナナの王様と呼ばれるバナナがある。その名もピサンラジャ(王様のバナナ)。このバナナは希少なバナナで、どこにでも売っているわけではない。甘みと酸味が強く濃厚で、日本で売られているバナナとはまったく違う味がする。体調が悪いときはピサンラジャを食べた方が良いと義母がよく言っているから、栄養価も少し違うのかもしれない。ちなみにピサンラジャは数種類あって、ピサンラジャ・セレやピサンラジャ・ブルなど「~の王様のバナナ」と品種分けされているようだ。先日行った市場には運よくピサンラジャが売られていたので写真を撮っておいた。もしもインドネシアを訪れる機会があれば、ぜひピサンラジャを見つけて食べてみていただきたいと思う。

小さい種類の王様のバナナ

インドネシアはもうすぐマンゴーの季節になる。多くの種類の果物は限られた季節にしか手に入らないけれど、バナナだけは一年を通して市場に売られている。市場に並ぶバナナを見かけるたびに、南の国に暮らしているんだなぁと実感するのだ。

太くて短い種類のバナナ

トラックの果物屋さん






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