インドネシアの結婚式

  • 2016/03/13
  • Indonesia

入り口に飾ってあった垂れ幕

インドネシアの結婚式

去年(2015年)の12月の初めに、インドネシア人の主人の従姉妹にあたる女性が結婚式を挙げた。彼女は看護師として病院に勤めていて、お相手は同僚の男性だそうだ。インドネシアでは恋愛結婚もお見合い結婚も同じくらい多い。ただしイスラム教徒の場合、結婚前の男女が二人っきりでデートをすることは止めたほうが良いとされているので、友人を何人か誘ったり、男性の母親から料理やお菓子作りを教わったりして交流することが多い。もちろん、日本と同じように二人っきりでデートするカップルもたくさんいるけれど。

お義母さんの姉妹

自宅での結婚式は、近くの空き地や道路に結婚式用の仮設テントを設置して挙式することが多い。仮設テントはピンクや紫など、新婦の好みに合わせた色の装飾が施されている。従姉妹の会場はピンクと白の装飾で、花が飾ってあったりと可愛らしい雰囲気だった。

新郎新婦が並ぶステージ

その可愛らしい会場の一角で、イスラム教の婚姻の契約が行われた。イスラム教の婚姻の契約には、主役の新郎新婦だけではなく、新婦の身元保証人(従姉妹の場合は父親だった)とその他、親戚や知人から二人が証人として参加する。このときだけは会場が静かになって、緊張した空気が流れているように感じた。

イスラム教の婚姻の契約の様子

婚姻の契約が無事に終わると、賑やかな披露宴が始まる。

インドネシア式結婚式は驚きの連続

まず驚くのは招待客の人数だ。従姉妹の結婚式は平日に行われた上に雨も降っていたため、参加者は予想よりも少なかったけれども、それでも300人以上は式に参加していた。今まで私が出席したインドネシアの結婚式では、どこもこのくらいの人数を招待していたから、これは平均的な参加者数なのだと思う。結婚式に参加した招待客はまず、ステージの上に立っている新郎新婦とその両親に挨拶をして、そのまま各自で軽い食事をして帰る。インドネシアの結婚式では多くの場合、食事はバイキング形式を取っているため、決められた席に座って料理が運ばれてくるのを待つということはない。会場には折りたたみイスがずらりと並んでいて、参加者は空いている席に座って食事を取る。だいたい朝8時から昼3時頃までの式が開かれている間、何時に来ても良いし、何時に帰っても良いのだ。とても気楽な結婚式だなと思う。ただし新郎新婦とその両親は、式の間ステージの上で待機していないといけないため、なかなか大変だ。従姉妹のお母さんは式が終わったとたんに、「疲れた~」と言いながらソファの上で寝てしまっていた。

参加者は挨拶をしてから食事をする

次に驚くことはお化粧である。結婚式でのインドネシア人のお化粧は、まるで舞台女優ようにしっかり仕上げる。今回はメイクをしてくれる美容師さんが来ていたので、試しに私も『スンダ民族式メイク』というのを施してもらった。特にどのへんがスンダ式なのかわからないけれど、目元の印象が随分キリッとしたと思う。もともと羨ましいほど豊富なまつ毛を持つインドネシア人もつけまつ毛を使用するらしく、美容師さんが持っていたメイク道具の箱には、つけまつ毛のケースがたくさん入っていた。ついでに頭に巻く布(クルドゥン)も、その日着ていた羽織りに合うようにおしゃれにセットしてもらう。テレビや雑誌で見るようなおしゃれな形にセットするには10本以上のマチ針を使っているそうだ。クルドゥンのおしゃれも奥が深いものだと思う。

スンダ民族式メイクで変身

式の間、新婦さんは3回ほど衣装変えがあって、どれもキラキラと輝くような豪華な衣装ばかりだった。結婚式の衣装は式の1ヶ月前くらいには各自で用意する。従姉妹の場合はバンドゥンの中心にあるパサール・バルで、結婚式用の衣装から招待客へのお土産までをすべて自分で用意していた。

参加者へのお土産に可愛らしいボールペン

自宅で式を挙げる場合、招待客に振舞う食事は結婚式を挙げた家族と親戚で作ることが多い。もちろん業者に頼むことも出来るけれど、私の親戚はみんな自分たちで作っている。普段から頻繁に家族親戚が集うので、大人数の食事を作ることには慣れているのだ。そういえばジャカルタで大洪水が発生したときには、被災者の女性たちが余裕の笑みを浮かべながら大なべで炊き出しをしていた姿をテレビで観たことがある。

結婚式の裏方

結婚式の食事には、グラメという高級魚の甘酢和えや八宝菜。牛肉をスパイスとココナッツで煮たルンダンや牛肉の串焼きが出されることが多い。その他、デザートにはココナッツミルクを使ったアイスクリームや寒天ゼリー、インドネシアの伝統的なお菓子が振舞われる。

伝統的なお菓子

インドネシアの結婚式の余興

結婚式を盛り上げるために、インドネシアでは歌手を式場に招待することが多い。歌手といっても有名な人ではなくて、地元で活躍する歌う商売の人たちだ。ダンドゥットと呼ばれる歌って踊る明るい音楽と、インドネシアの伝統民族楽器の演奏がとても楽しい気分にさせてくれる。

演奏する人たち

ダンドゥットを踊る人たち

他にも、式の途中で新郎新婦とその両親がカゴ一杯に持った小銭やお菓子を招待客に向かって投げたり、イスラム教とは関係ないインドネシアの伝統的な婚姻の儀式を行うことがある。

インドネシアの伝統的な婚姻の儀式は、民族によって多少異なる。例えば私の家族と同じスンダ民族の場合、伝統的な婚姻の儀式の流れはこのようになる。

 1.卵と10センチくらいの竹を新婦が握る。
 2.新婦が卵と竹を足元に置き、新郎がそれを踏む。
 3.花と水が入った花瓶を新婦が持って、新郎の足にその水をかける。
 4.新婦が花瓶を足元に置いて、新郎がそれを踏んで割る。

花瓶を持つ新郎新婦

民族的な婚姻の儀式は、イスラム教が広まった今でも結婚式の余興として行われることが多い。家庭によっては婚姻の儀式の前に、7ヶ所の湧き水から汲んできた水に花を浮かべて、7人の親戚が一杯ずつ新郎新婦に水をかけることもある。このような儀式は、イスラム教がインドネシアに入ってくる前からあるもので、その多くはヒンズー教の儀式がもとになっていると言われている。もともとの宗教からイスラム教へ、インドネシアの人々はきっと緩やかに柔軟に彼らの信仰を変えていったのだろう。

新郎新婦と記念撮影

おまけ






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