パワフルな生活は日ごろの健康意識から

  • 2014/10/14
  • Indonesia

田舎の風景

インドネシアのラジオ体操

「1,2,3,4,5....」朝早くから、大勢の女性たちが公園や空き地でスナムと呼ばれるラジオ体操のような体操をしている。スナムは数十人で行う大きな規模のものもあれば、数名程度の小さな規模のものもある。それぞれのスナムの仲間でおそろいの体操服を着ていることが多い。私も数回参加してみたが、ラジオ体操よりも動作が激しく、終わったときには汗だくになってしまった。片道30分歩いてパサール(市場)に行くだけで一日分の運動をしたと思っている私には、パサールで買い物をしてスナムで汗を流して家事をこなすインドネシアの女性たちはスーパーウーマンのように思える。

日曜日の朝は、女性だけでなく、老若男女のインドネシア人たちが公園や道路でウォーキングを楽しんでいる。人が大勢通るところでは行商の人たちが露店を広げており、子ども達が友達とおしゃべりをしながら買い食いをしていたりする。ウォーキングに最適な時間帯は午前6時から8時くらいだと思う。午前8時を過ぎるとじわじわと暑くなってくるからだ。

買い食いする子ども達

植物由来の伝統薬(ジャムウ)で健康に

朝のウォーキングやスナムを習慣にすることはとても健康に良いことだと思うが、忙しくて時間がないときもある。そんなときはインドネシアの伝統的な薬ジャムウ(jamu)を飲む。ジャムウはウコンや生姜などの植物を材料にした伝統的な薬で、インドネシアのジャワ島中部から東部に多く暮らすジャワ民族が主にその知識を持ち、生産している。朝や夕方、大きな籠にジャムウが入った数本の瓶を入れて担いでいるジャムウ売りを見かける。ジャムウは1グラス1000ルピア(約10円)で買うことができる。授乳中の女性はウコンが入ったジャムウを飲むことが多い。母親がウコン入りのジャムウを飲むと、母乳を飲んだ子どもの食欲を増進させる効果があるそうだ。私がよく利用しているジャムウ売りは、中央ジャワにあるソロ(solo)という場所が出身地である。ジャワ民族の中でも、中央ジャワのソロやジョグジャカルタ(yogyakarta)に暮らす人々はゆったりとした話し方が特徴的だ。また、ジャワ島西部にはスンダ民族が多く暮らしており、私の家族もスンダ民族である。スンダ民族とジャワ民族の外見的な違いはあまりないように思うが、言語は多少異なるためそれぞれの民族意識は高いように感じられる。

ジャムウの知識はジャワ民族が優れているが、ジャムウ以外の植物を使った伝統的な美容法や治療法に関する知識はどの民族でも共通することが多い。例えば、風邪で熱が出たときは赤たまねぎをすりおろして背中と胸に擦りつけたり、アロエベラを湿布代わりに使ったり、バンクワンという芋に似た植物をすりおろして美白のためにパックに使ったりする。このバンクワンは美白効果が高いらしく、バンクワンを原料にした洗顔用品や化粧品が多数売られている。子どもを乳離れさせるときは、おっぱいに薬用の苦い葉っぱやゴーヤを塗るそうだ。

バンクワン

インドネシアの断食月

インドネシアでは選挙に全国民が参加する。住んでいる場所に招待状が届き、空き地に仮設された選挙会場に集まる。そして一人ずつに候補者が書かれた紙が渡され、自分が選んだ候補者にペンを突き刺す。その紙を投票箱に入れ、投票した印としてどれかの指に紫色の朱肉をつけて退場する。大統領選挙は5年に一度行われ、今年はちょうどイスラム教の断食月に選挙があった。

空き地に仮設された選挙会場

投票した印を指につけた人

イスラム教の断食月はヒジュラ暦(太陰暦であり、通常の1年と数日ずれる)を用いた1年に1度、約一ヶ月間行われる。さまざまな欲を我慢するひと月である。朝は通常よりも早く、午前3時頃に起床し食事の用意をする。午前4時頃に家族でサフール(safur)と呼ばれる断食月独特の食事を摂る。サフールの献立は家庭によって違い、パンだけで済ませる人もいれば、ご飯とおかずをしっかり食べる人もいる。共通することは水分をしっかりこの時間に摂っておくということだ。午前4時半頃に始まる礼拝の時刻から太陽が沈む時刻までは、飲み物や食事は一切できない。このサフールの食事をすることで、一日の断食が随分楽になる。断食月の間は日中、食べ物を扱う行商の数もめっきり少なくなる。代わりに、子ども達が喜びそうなおもちゃを売る行商やオドンオドンと呼ばれる子ども達のための乗り物をよく見かける。その他、子どもを乗せて遊ばせるための馬や風船売りや猿回しなどがいる。断食をしている間は子どもに泣かれると体力を激しく消耗してしまう。このような行商がいると、とてもありがたいのだ。

猿回しの人

猿回しのサル。お面が少し怖い。

日没近くなると、道に露店が並びだす。空っぽの胃に優しそうなお汁粉のようなデザートや揚げ物、ご飯と惣菜を売る露店などさまざまだ。断食月も終わりに近づいてくると子ども達の学校が休みになるので、コルセルと呼ばれる移動式遊園地が設置されたりする。断食月が終わる週には2日間くらい祝日が入るため、会社を数日休んで1週間ほど家族で実家に挨拶に行くことが恒例行事だ。そのため大規模な帰省ラッシュが毎年起こる。特に断食月が終わる祝日の2日前は道路はいつも以上に渋滞し、バスやトラベル(インドネシアの乗り合いバス)といった移動手段の価格が2倍以上になるという異常事態だ。帰省する人々のことをインドネシアではムディック(mudik)と呼ぶ。ムディックたちは行きも帰りも山ほどのお土産を持って移動しているため一目でわかる。車の屋根の上に大きな荷物が縛り付けてあったらムディックの可能性が高い。田舎へのお土産には新しい服やお菓子や親戚の子ども達のための小遣いを持って行くことが多いそうだ。田舎からはキャッサバのお菓子を持って帰ってくる人がよくいる。我が家は両親も親類も近くに暮らしているためムディックになることはないが、義弟のお嫁さんが数年に一度ジョグジャカルタまで約400kmの道のりをムディックになって帰省する。

ムディック

断食月が終わると、親戚の家や友人の家に挨拶に行く。そのため、いつ来客が来てもおもてなしができるように、クッキーなどの日持ちするお菓子を断食月の間に買うか作るかしておくのである。私の義母は3日間で7種類のクッキーを焼き、断食月の最後の2日で特大のチョコレートケーキを作ってくれた。断食月が明ける前日はどこの家庭でも、ロントン(蒸した米を搗いたものをバナナの葉で包み、もう1度蒸したもの)やクパット(ロントンと同じ様な食べ物。椰子の葉を編んで包んである)やサテ(焼き鳥のように牛肉を串にさして炭火で焼いたもの)やグレイ(牛肉のカレー)を用意するそうだ。

クッキーが並べられている

サテ

おまけ






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