食べるだけじゃない!健康の秘訣はなんと…トウモロコシのチ・カ・ラ

  • 2015/02/20
  • Guatemala

場所が変われば食べ方も変わる

トウモロコシと聞くとみなさんは何をイメージしますか?缶詰に入ったホールコーン、ゆでたてのトウモロコシをシャキッと食べるあの感じ、人によって頭に浮かんでくるイメージは様々でしょう。しかし、地球の裏側に場所を移せば、その概念も180度変わってしまうのです。

日本では、トウモロコシが栽培できるのは一部の地域に限られていますが、ここグアテマラでは産業の一位を占めるほどトウモロコシ栽培が盛んです。もちろん主食もトウモロコシなのですが、その食べ方が独特なのです。

トウモロコシの収穫というと、一面緑色に広がったトウモロコシ畑をイメージする私たちですが、ここグアテマラでは収穫の時はすでにトウモロコシは枯れて萎れている状態です。そんな状態だともう食べ物として通用しないじゃないかと思いますが、実はここからがグアテマラ人の知恵の見せ所。すでに乾燥したトウモロコシ(一般的にmaizマイスと呼ばれている)を収穫しさらに天日干し、カラカラに乾燥した状態で一粒ずつむしり取っていき、そうやって収穫されたものが市場で1リブラ(480グラムほど)単位で売られています。これがグアテマラの欠かせない主食。もちろん自分の土地を持っている人は、自分の畑で家族の分を栽培します。日光をたくさん浴び、缶詰コーンよりもビタミンが豊富に含まれているこのトウモロコシ、どんな食べ物に変身するのでしょうか?

トウモロコシ畑:一面に広がるトウモロコシ畑は結構の迫力

比べ背の高さ:人間の背をはるかに超えて2メートル以上にも

トルティーヤだけじゃない…なんとトウモロコシが飲み物に?

中米で主食として知られているトルティーヤはみなさんもご存知のことかと思います。乾燥したトウモロコシの粒を、少し石灰を入れた鍋でゆで、外の皮がはがれるくらいに煮えたらしっかりお湯をきって水で洗って(石灰を除くため)、モリーノ(砕く機械)に持っていきます。この機械を通すと、トウモロコシの粉になったものがパンやピザ生地のような柔らかさで出てきて、これを各自トルティーヤにするといった感じです。結構な仕事量ですよね。

ここまでは一般にもよく知られていますが、食べ物ではなく飲み物になる過程を想像できますか?

原料は同じ乾燥したトウモロコシの粒なのですが、鍋でゆでるときに灰(薪をたいた後に出る)を一緒に入れて、しっかり煮えたら濾してトウモロコシの粒だけ取り出すといった具合に、少し手順が違ってきます。それを砕いて飲み物にするということです。

今ではすっかり毎日の食卓に馴染みがある「アトル」という飲み物、昔マヤの民族はトウモロコシを神聖な食物とみなしており、tolli(トジ)と呼んでいました。しかしスペインによる征服に伴い、マイスという呼び方が一般的になりました。彼らは日々の食卓にも、そして大事な儀式にもいつもアトルを用いていたといいます。彼らが健康を考慮して飲み始めたこのアトル、今ではグアテマラ全土にすっかり根を下ろしています。

一番伝統的なアトル・ブランコがどんな飲み物かを説明すると…

水の中にトウモロコシの粉(生地状のもの)を混ぜて沸騰させ、香辛料、黒大豆を入れ、塩とレモンで味を調えるといった感じです。塩気のあるナチョスなどのスナックを入れて食べます。味はなかなか想像つかないと思います。ちなみに私も挑戦してみましたが、なんとも興味深い味。イメージとしては、お粥よりさらに柔らかい口あたりで塩味のみ、とてもシンプルですがお腹がいっぱいになります。保存料や身体に害になるものが一切含まれていないので、健康にいいのも納得がいきます。

アトルブランコ:伝統的なアトルブランコ

大豆:底にはフリホール(小豆)が沈んでいます

アトルと言ってもバリエーションが豊富

一口にアトルと言っても様々な種類があります。プラタノ(バナナの一種)、アバ(ソラマメの一種)が入ったものが人気で、先に説明したアトル・ブランコ以外はすべて砂糖が入っていて甘く仕上がっています。もちろん外国人観光客にも人気の味です。

以前はアトルと言うと、マイスと水がベースというのが決まりでしたが、最近ではそれも変わってきています。マイスの代わりにお米、水の代わりに牛乳といったように、中身を変えてアトルは存在し続けています。日本人にはちょっと考えられない組み合わせですが、ホットミルクにお米が入っていたり、ホットチョコレートにお米が入っていたりと、場所が変われば発想も様々です。ただ譲れない条件は、身体に害を及ぼさない原材料で作られていること。アトルを作るお母さんたち誰に聞いても、これだけは共通しています。これからもいろんな種類のアトルが生み出されていくのかもしれません。

アトル お米と牛乳:シナモンは欠かせません

アトル チョコ-レート:意外な組み合わせですが結構いけます

粉シナモン:お米と牛乳と砂糖 粉シナモン入りで温まります

トスターダ:アトルにぴったりのトスターダ(トルティーヤを油で揚げたもの)

グアテマラ人は午前十時と午後四時の間食が習慣になっています。農作業に従事する人はもちろん、どんな大きな会社や銀行で働いていても、この時間になると社員はお腹を満たせるものを街に探しに行きます。高級レストランでは決して出会えない、街のお母さんが売っているアトルは、心もお腹もポカポカに温かくしてくれる、グアテマラには欠かせない存在なのです。

街のお母さん:毎日夕方になると家の前でアトルを売るお母さん カルシウムがたっぷりと自慢の様子

夕暮れ時:夕方の寒い時にアトルで心も身体も温まる…






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