ドバイで意外に「原宿カワイイ」ファッションが受けている事実

  • 2015/06/24
  • Dubai

みなさんが頭に描く“ドバイ”は、世界一のショッピングモールにゴージャスな7つ星ホテルなど、セレブなイメージが中心ではないでしょうか。そのように人目を引くモノ、コトにあふれているドバイですが、実際に住んでみて一つだけ欠けているように筆者が思ってきたのが、 “シックでアートなクリエイティビティ”。

ファッションで言うと、高級ブランドやイスラム教の民族衣装アバヤなどはよく見かけても、日本の原宿で見かける独創性のあるファッションや、装飾をひかえて洗練された美を見かけることが、皆無でした。急速な経済発展という豊かさの陰で、シックよりもゴージャスさが受けるマーケットであることと、そもそもローカルがイスラム教の伝統衣装を着る国なので流行が作りにくい、などと理由を想像していました。

でも、そんなドバイが、今イメチェンをしようとしています!

アラブ首長国連邦(UAE)首長の新しい都市計画により、世界中のデザイン、ファッションなどクリエイティビティの“ホーム”となる地区を建設中なのです。ホームといっても、街をまるごと建設中なので、そこはドバイらしく豪快に。

そのデザイン地区、通称『d3(ディースリー)』の一般公開向けイベント『Meet d3(ミート・ディースリー)』が先日あり、取材をしてきました。その結果、日本の「原宿カワイイ」ファッションが受けている事実が分かったのです! ドバイのイメチェンに、日本のポップカルチャーが登場しているなんて意外かもしれません。ドバイの新たな一面が見えるイベントについて、これからご紹介します!

原宿カワイイ・ブランド “ソース”

筆者が訪れたd3のイベント会場では、まず入り口でこの『S*uce(ソース)』によるキャンピングカーのような展示がお出迎え。

ドバイ発の“原宿カワイイ”レーベル、『S*uce』。興味深いのが、このレーベルはファッションだけでなく、家具などライフスタイルやアートまで独自のカワイイ・スタイルをトータルで提供すること。

日本ではこのような“セレクトショップ”が当たり前の存在ですが、ドバイではありません。イスラムの伝統衣装か、みんなが知っているような国外のブランド物かしか選択肢がありません。そのため、まず可愛らしいデザインのアイテムであること、またファッション以外にも世界観を広げたアイデアそのものが、かなり先進的に受け取られています。

中に入ると、女の子の部屋を再現したラブリーなインテリアにドレスの数々が。ルームサービスをイメージした展示につき、このパネルの中にあるアイテムをクリックすると、まさに“ルームサービスのように”実際に購入できる仕組みに。

このような可愛らしい雰囲気が、いつも街中で見るきらびやかなアラブ女性の好みにあうのか興味があり、S*uce インターナショナル・トレーディングのAtyah(アトヤ)さんに聞いてみたところ、このような答えが。

「S*uceはローカルを含めたアラブ女性にも人気。アラブ女性は最新トレンドを見つけ実験的におしゃれを楽しむことを、恐れていません。そして、いつも新しい物、他の子と違う物を求めている。それが、S*uceが提供するもの。私たちは、日本のカワイイが大好き。去年は日本のカワイイをテーマに“カワイイ・キャンペーン”も実施して、好評でした」

そもそも海外では、NHKワールドによる番組の影響で、外国人に「カワイイ」という単語がそのまま通用することをご存知でしたか? 可愛らしいという意味と言うより、原宿風ファッションやスタイルのことを総称して「カワイイ」と言っています。筆者も「ハロウィンの衣装をカワイイにしたいからスタイリングしてくれ」と外国人の友人に言われて何のことかと思ったら、“原宿風”という意味だと判明したことがありました。

S*uceのウェブサイトを見ても分かりますが、日本とのコラボTシャツもあり、日本のカワイイをかなり意識しているとのこと。

カワイイの波がドバイにまで来ていることに、ちょっと驚き、そして嬉しくなりました!

バーチャル・ファッションショーから、モロッコ音楽まで

広大な会場には、他にも興味深い展示がたくさん!

筆者の一番のお気に入りが、この映像ブース。『threeASFO(スリーアズフォー)』と言うファッション・デザイナー集団によるもので、ミニ・ファッションショーが楽しめるのです。メトロポリタン・ミュージアムにも展示された彼らの前衛的なデザインは、ビョークやオノヨーコにも愛されているとか。

部屋の中に入ると、巨大なスクリーン三面に『threeASFOR』の服を着たモデルが現れます。モデルの動きにあったクールな音楽、幾何学模様でいっぱいの映像に包まれ、ふわっと異空間にいる感覚になりました。

さて、アラブ地域のデザイナーの作品を集めたマルチ・ブランドコンセプト『RESid3NT(レジデント)』によるコレクションでは、“GINZA ART(銀座アート)”なるものを発見!

ちょっと和のテイストが入った長袖シャツ、アラブ人が着た姿を見てみたい気がしませんか?

等身大の万華鏡みたいなインストレーションは、これまた日本のアーティスト、Wink Space(ウインク・スペース)の白根昌和さん、宮崎沙綾さんによる作品。折り紙を折ったような形、と案内パンフレットに書かれていましたが、この形状により光がウインクするように見えます。中に入って写真撮影をする人が後を絶たないほどかなり人気で、ブロガーなどメディアでも「すごい」と話題になっていました。

開催時期がちょうどイースター期間につき、イースターバニーがいたので記念撮影を。

かなり賑わっていたのが、Andy Wahloo(アンディー・ワロー)のテント。珍しい Gnawa(ガナワ)音楽隊の演奏が聴けるとあって、テントは大盛り上がり。エキゾチックなインテリアのテントで、サハラ砂漠からモロッコまで旅したと言われるガナワのノスタルジックな音楽が、見事にマッチ。ミュージシャンが頭を回転しながら演奏する独特なスタイルは、今まで見たことがありませんでした。

このアラブ・モダンなお皿は、Silsal Design(シルサル・デザイン)によるもの。ショッピングモールで見かけるアラブ食器は、金の縁取りがついているなど、日本人にとってはゴージャスすぎるアイテムが多いのですが、こちらは洗練されています。「アラブ文字ってこんなにスタイリッシュだったんだ」と感じませんか?

子どもたちにもアートを楽しめる空間がありました。大きな黒板に、思い思いに落書きをする、子どもたちの背中。

面白かったのが、子どもだけでなく、大人たちもかなりはしゃいでお絵描きする様子が見られたこと。創造性がテーマなだけあり、大人が子どものこころを取り戻す場所が、きちんと用意されていました。

ドバイのデザイン地区は、伝統的なアラブ文化やアラブ圏のアーティストに国際的な視点をミックスし、新たなカルチャーを提供する発信地として、今後がかなり期待できるように思えます。イベント終了後は、この地区のビル内にクリエイティブ系のグローバルな会社がどんどんテナントとして入居するとか。

特にドバイでカワイイ・ブランドが受けている事実は、生活圏で見る風景から想像がつかないため、筆者にとって、とても衝撃的でした。

日本のファッション・レーベルが今後参入した場合、発展の可能性が大なのでは……と感じながら、帰途につきました。


では、مع السلامة マッサラーマ(また会う日まで)!






【参照】

Meet d3・・・2015年4月2日から3日間、現在建設中のドバイのデザイン地区d3の一区画にて開催された、ローカル、アラブ地域、インターナショナルなデザイナー、ミュージシャン、セレクトショップやユニークな世界の食をコラボさせた一般向けの一大公開イベント。

【取材協力】

S*uce・・・ドバイ発、数々の賞を受賞したマルチナショナルなファッション、ライスタイルのコンセプトショップ。2004年にZayan Ghandour、 Fatima Ghobash 、Dina Salehにより設立。世界中を旅したFatimaとDinaが、UAEのファッション市場に欠けているものをもたらそうと考えたのが、きっかけ。

コンテンポラリーなブランドや注目のデザイナーとのコラボにより、ドバイ、アブダビで7店舗を展開。アメリカのヴォーグ誌など世界の著名なファッション雑誌にも特集され、今注目されている。オンラインショッピングサイトでは、世界中どこにいても購入可能。日本のアーティストによる“カワイイ”ポスターも!






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