UAE人のソウルが宿る!男性だけの伝統舞踊「レワ」ダンス

  • 2015/05/06
  • Dubai

ドバイの貴重な短い冬が終わろうとしている、今日この頃。太陽がだんだんと主張をし始め、誰かと話すたびに「もう夏が来る気配がするね〜」と言い合う春、日本のみなさんはいかがお過ごしですか?

夏か冬かしか体感で違いを感じられないドバイに住んでいると、日本の四季にある繊細な美が恋しくなります。

さて、過去記事にてアラブ首長国連邦(UAE)で最も尊敬されるベリーダンサーについて紹介をしました。ドバイに住んでいるとアラビアンナイトな雰囲気でいつも妖艶なベリーダンスを見る機会があるように思われがちですが、実際は逆だとお伝えしましたね!

そのお話に続き、当地で実はベリーダンスよりもよく見かける、UAEの“伝統舞踊”をご紹介します。これが男性の集団で踊られるダンスで、古き良きドバイを感じる素朴な踊りなんです。

「え? そんな踊りがあったの⁉」と驚く方は多いでしょう。早速この踊りを実際に見るために、ドバイにある『グローバル・ヴィレッジ』に行ってきました!

この世界各国の文化が体験出来る巨大テーマ・パークにて、一味違ったアラビアンナイトにお連れします!

美しい世界各国のパビリオン

グローバル・ヴィレッジに到着! 夜更かしする人が多いドバイらしく開園が16時、閉園は深夜24時で、週末は更に延長でなんと午前1時。エントランスにはすでに、アラブ人を中心に人だかりが!

日ごろドバイに住んでいると、多国籍の人々と接するため、実はこんなに沢山のアラブ人を一度に見る機会がありません。そのため、この日はアラブに住んでいることを改めて実感してしまいました。

このテーマ・パークの最大の特徴は、”異文化体験”。広い敷地内に世界31ヶ国を代表するパビリオンがあり、その中で各国のアイテムや食べ物が買え、定期的に文化的なショーが開催されます。そのため来場者数がワンシーズンに500万人を超える、家族向けの人気スポットなっています。

実はこのグローバル・ヴィレッジ、夏には気温50度を超えるドバイでは11月から4月までと涼しい季節限定で開催されます。だからパビリオンは簡易テントなのかと想像して行ったら、実際はしっかりとした建物だったので、びっくり!

中でも外観が印象的だったのが、カンボジア、イラクのパビリオン。

入場料はたったの15ディルハム(約489円)で、3歳以下の子どもと65歳以上の老人及び特別なケアが必要な方とその介添人は無料と、良心的。

UAEの伝統舞踊 “レワ”

さて、夕暮れになると園内がざわめき、人がいっそう増えて来ます。日本だと、花火大会の前のような盛り上がり。そんな中、お待ちかねのUAEのダンス・ショーを見るために、UAEパビリオン前に陣取ります。

しかし、みんなショーがあることを知らないのか、誰もいない状態でした。入り口にいたアラブの伝統衣装を着た係員に聞くと「ああ、18時くらいからだよ。あのへんでやるよ〜、ショーはかなりクレイジーだよ!」と係員の一人がダンスの身振りを加えて教えてくれると、もう一人が「クレイジーなのはおまえの方さ!」と最初の係員を指差すというコントみたいなやりとりが。

係員が示したあたりを見ると、白い装束を着た男性のダンサーたちが一人また一人と集まります。どうやら、ステージではなくこのちょっとした通りで踊るとのこと。10人くらいになり「もうそろそろ始まるかな〜?」と思いきや、近くのコンビニにお菓子を買いに行き、帰ってきてはポリポリ食べて談笑している、とても和やかな雰囲気。

すると突然、ダンサーのうちの一人が通りの真ん中に立ち、トランペットのような形のパイプフルート、Mizmar (ミズマール)という楽器を吹き始めたのです!ミズマール奏者の横には、ドラム奏者たちが待機しました。

そしてミズマールの音色に呼び寄せられるようにして、他のダンサーが楽器奏者のまわりに集まり始めました。

なんとも牧歌的なドラムのリズムと、ミズマールのメロディーがひとつになると、ダンサーたちが円を作り踊り出したのです。

この踊りは『Liwa (レワ) 』と言います。1920代まで盛んだった真珠漁の後、その成功を祝って男達だけで踊られていたとか。どことなくアフリカ的なリズムも感じますが、それもそのはず。当時東アフリカの貿易商が中東にやってきた時に、アフリカ的な音楽も自然に流れこんできたためです。

昔は「真珠がたくさん採れた!」という喜びのダンスだったので、ダンサー同士がお互いの顔を見て歌い踊り、一体感を楽しむ踊りなのだと感じました。つくりこまれ過ぎていないので、観客との距離が近く親しみが持てました。

スローテンポの踊りだったのが最終的にやや激しくなりますが、全体的にはのどか。それでも20分の踊りだったので、ショーが終わってダンサーのひとりに話しかけると、息も絶え絶えでした。

ちなみにレワ・ダンスを始めとしたUAEの伝統舞踊は、現在では通常結婚式など祝いの席で踊られています。ローカルの間で伝承されるため、外国人がUAEの伝統舞踊を見るにはこのような限られた場所、期間のみ。もちろん、外国人がUAEの伝統舞踊を習えるところもありません。

さて、ショーが終わる頃には、夜の帳もすっかり降りてイルミネーションが美しくいっそう華やいだ雰囲気に。園内にある池ではファウンテン・ショーも!

夜22時近くなっても人は増え続け、他国のパビリオンでも絶えることなくパフォーマンスが行われていました。

帰り道すがら、レワ・ダンスの素朴でのどかなリズムがまだ耳の中で聞こえてくるよう。

現在の発展めざましいドバイからは想像もつかない時間軸を感じられる、レワ・ダンス。その昔、砂漠だらけで漁業・真珠漁をしていた小さな漁村だった頃の素朴なドバイが、このダンスのゆったりしたビートを通じて目に浮かんできます。

これからもどんどん変わりゆくドバイですが、伝統的なアラブ人と接すると、ゆったりとして素朴な、絶対なる時間軸を感じることがあります。

彼らの心には、このレワ・ダンスのゆったりしたビートのようなものが、変わらず流れているのかもしれません。

では、مع السلامة マッサラーマ(また会う日まで)!






【取材協力】

Global Village・・・ドバイにある、1997年にローンチした冬季限定のテーマパーク。
世界の文化をテーマにしたパビリオンではアバヤなど衣類から各国のローカルなアイテムまでそろうマーケット、世界の味が楽しめる無数の屋台、ダンスパフォーマンスの他に、花火、遊園地、噴水ショーが行われる池などがある。今期は2014年11月6日〜2015年4月11日まで開催。






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