きっとあなたも着てみたくなる!美しすぎる「イスラムの伝統衣装アバヤ」

  • 2015/03/28
  • Dubai

こちらドバイでローカルの女性が身にまとう黒い伝統衣装、“アバヤ”。

みなさんも、イスラム圏に旅行に来た時や、テレビ番組などで見かけることがあるかと思います。

イスラム教の女性は全身をすっぽり包むマントのようなこの“アバヤ”と、“ヒジャブ”または“シーラ”と呼ぶスカーフで髪の毛を覆うことで、頭からつま先まですっぽりと隠します。

このようなスタイルは、日本でミニスカートやチューブトップを見慣れている目から見ると保守的に感じるかもしれません。

でも、実際にアバヤを着る女性たちは、粋を好む日本人が着物の裏地にこだわるように、また女子高生が制服をカスタマイズするように、アバヤの細部にこだわって、自分らしさを表現しています。

今回はドバイのワーフィー・モールにある『Oyoon Al Mazyoona (オヨーン・アル・マズヨーナ) 』というアバヤ・ショップを訪れ、ショップオーナーでありアバヤ・デザイナーの新星Pierra (ピアラ)さんに、色々お話を伺いました。

なかなか近くでじっくり見る機会のないアバヤ。ピアラさんへの取材と周辺の調査の結果わかった、アバヤがちょっと着てみたくなるようなお話をご紹介します!

なぜアバヤを着るのか?

まず、アバヤを着る理由を簡単にご紹介します。

イスラム教では公共の場で、特に男性の目を避けるために髪の毛や身体の線、国によっては目までも隠さなければなりません。それで、マントのような形状のアバヤは、身体の線を隠すにあたって何を中に着ようと外出時にさっと羽織れば良いため、便利なのです。

筆者もジムに行くと、ジムウェアーを着た様々な女性と言葉を交わしますが、 更衣室に戻りハンガーにかかったアバヤをさっと手に取りジムウェアーの上に羽織り、帰って行く彼女たちの姿を見て初めて「ローカル女性だったんだ!」と気づくことも。

また日差しがきつい気候では、黒いアバヤがサングラスと同様日よけの役割をはたすのとともに、砂漠の地で風に舞う砂をよける役割もあり、実利的。

精神面でも、公共の場で目立たないようにする謙虚さがよしとされる文化にあってアバヤはふさわしいのです。ココ・シャネルが最も黒を愛したように、昔からエレガントな色とされる“黒色のアバヤ”がどのようなシーンにもあい、特によしとされてきました。

ショッピングモールに行くと、色にあふれた洋服を着た女性たちの中で、黒一色の装束が エレガントでむしろ目立つことに気づくのは、筆者だけではないでしょう。

アバヤの種類

では、実際にアバヤがどのようなものか、見ていきましょう。ここは、ワーフィー・モールの中にあるスーク(アラブの市場)。

取材で訪れたピアラさんのショップにあるアバヤは、このようにワンポイント工夫があるのが特徴。若い世代にはこういったデザイン性のあるアバヤが、今受けています。

こうもりみたいな形もあれば、袖が長く裾とつながったアバヤも。これは、風が強い当地で、袖がたなびく美しい姿が想像できます。

西洋のドレスをイメージした、裾が広がるアバヤも。

袖、裾部分だけにデコレーションがほどこされるアバヤ、袖がAラインに広がるデザインもフェミニンで素敵。

黒一色でも、部分的に質感を変えラインストーンなどをあしらうことで、イメージがぐっとモダンに。

こちらは、中国風のアバヤ。

黒とゴールド面をリバーシブルで着られるアバヤもありました。ピアラさんのアバヤの特徴は、まずアイロンがいらない形状記憶アバヤであること。毎日着用するものなので、これは嬉しいですよね。

これらのアバヤの価格帯は800〜4,000ディルハム(約25,894〜129,469円)となっています。ローカル富裕層向けのショッピングモール内にあるショップなので、納得のお値段。

彼らの母親・祖母の世代に当たる女性たちはより保守的な、何の飾りもないアバヤを着用するため、世代間ギャップがここにあります。

さて、筆者はこの着物のようにあわせるアバヤが気に入り、着せてもらいました。すると、何も着ていないような、羽みたいな感覚にびっくり!

それもそのはず。

素材にこだわるピアラさんは、夏には涼しく冬には温かい、独自に開発した企業秘密の素材を使われているとか。

巷で300ディルハム(約9,710円)ほどの手ごろな値段のアバヤの素材が通常ポリエステルなのに対して、ピアラさんはポリエステルを絶対に使用しないポリシー。

ピアラさんが使用する素材の秘密のうち、ひとつだけ教えて頂きましたが、それはなんと“日本の絹”。

ドバイでは、日本の絹はアバヤを作るのに最も質が良い生地として重宝されていることが分かりました。実際に日本の生地のサンプルを見せて頂いたのが、こちら。

今回実際にアバヤを着用してみると、着物を着た時のように“かしこまった気持ち” になりました。 「アバヤを着ている時には、 特にきちんとおしとやかに振る舞わなければならない気持ちになる」というローカルの意見がありますが、納得しました!

着るか着ないか?それが問題だ

アバヤは、実は着るか否か選択が出来る事実をご存知でしたか?ドバイを含むアラブ首長国連邦では、アバヤ着用が義務ではありません。

近代化に伴い若者のアバヤ離れも進んでいます。それを反映するように2014年に実施された若年層向け意識調査では43%の人々が、伝統的なものの価値より、ライフスタイルに近代化をより取り入れて行きたいということ。

しかし、これは同時に残りの57%のローカルの若年層が、伝統的価値はとても大切で、次世代に受け継いで行かなければいけないと感じている、ということでもあります。

SF映画のように発展めざましいドバイで、伝統を受け継いで行きたい思いは自国のアイデンティティを誇りに思う証拠ですよね。

近代化か伝統か、両者のバランスを取る動きが、このおしゃれアバヤの流行ではないでしょうか。

これ、実は日本の着物離れとよく似ていますよね。しかし今、新たな角度から着物のよさを提案する素晴らしい人々が現れており、着物文化のバリューが再構築されています。

着物が古き良き、でも新しいものになろうとしている今の日本。ドバイの素敵なオシャレ・アバヤ事情とちょっと似ているように思いました!

では、مع السلامة マッサラーマ(また会う日まで)!






【取材協力】

Pierra Bterranini・・・レバノン人アバヤ・デザイナーで、『Oyoon Al Mazyoona』のオーナー。前身はインテリア・デザイナー。1970年より世界中を旅することで、フランスのレース、イタリアの生地、スペインの糸など素晴らしい素材に出会い、アバヤ作りのインスピレーションを受ける。自ら素材を選び、デザインしたハンドメイドなアバヤをWafiモールのKhan Murjan内、アバヤ・ショップにて販売。アバヤを通じて、アラブ文化の美しさを発信して行きたいと思っている。2014年に立ち上げたショップだが1年足らずでショップのFacebook ページが”5,000 likes”を超え、確実にファンが増加中。

・Facebookページ:www.facebook.com/oyoondubai

【参考】






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