嗅ぐと究極の癒し効果!ドバイ流「人とかぶらない」伝統的フレグランス2つ

  • 2014/08/31
  • Dubai

あなたは、昔の恋人の香水の香りが”ふわっ”と漂い、つい振り返ってしまったことはありませんか?「もしかして」と目で追ったら、別人が同じ香りを付けていただけだった・・・・・・ということ、ありますよね!

そんな風に、日本では流行りの香水をみんなが一斉に付けだす傾向があるため、他人と香りがかぶってしまうことが少なくありません。

でも、これ、ドバイを含むアラブの国々では、あり得ないこと!

なぜかと言うと、アラブの人々は、香りの重ね付けをするからです。アラブ文化において、香りは”名刺代わり”と言われるほど、独自性が重要なので、同じ香りをさせている人がいないと言えます。

なぜ、それほど香りにこだわるのでしょうか?

その秘密を、ドバイの有名なフレグランス・ショップである『Yas The Royal Name of Perfumes(ヤス・ザ・ロイヤル・ネーム・オブ・ザ・パフュームス)』にて、エリア・マネージャーのWissam (ワッサム)さんに取材をし、伝統的なアラブの香りについて、色々教えて頂きました。

これから詳しくご紹介します!

ドバイ流香りの楽しみ方

ドバイでは、道で通りすがる民族衣装を来たローカルの99%は、男女問わず、こだわり抜いた良い香りをさせています。

それが、香水の匂いだけではない深みがあるため、5メートル先からでも「あ、ローカルがいる!」と分かるほど。日本ではあまりありませんが、病院でお医者さんが強い香りをまとっていたこともありました。

また、ドバイの主要なショッピングモールでは、ウッディーな香りのお香がもくもくと焚かれているのが常で、これは「日本の神社みたいで懐かしい感じがするけど、子どもが触ったら危なくないのか?!」と、筆者がドバイに住んで驚いたことのひとつ。

ローカルに聞いた”香りの典型的な楽しみ方”は(1)沈香(じんこう)によるルームフレグランス、さらに(2)香水または香りのオイルを耳につけ、最後に(3)Bakhoor(バフール)と言って、お香の煙を衣装に焚きこめて仕上げる、とのこと。

(1)と(3)が同じ用途にも使われるため、どちらかの場合もあります。
いずれにせよ、複数の香りを重ねることにより、”その人だけの香り”が出来上がるという訳です。

今回は最も伝統的な(1)の沈香と、(3)のバフールに絞って、下記にご紹介します!

沈香(Oud・ウード)

ウードは日本語で言うと、”沈香”です。日本でもお線香を通じて親しみがありますよね。
かつてアラブの王族しか使用が許されなかったため、”香りのダイヤモンド”という別名があります。

ウードはざっくり言うと、アロマティックな香りがする木片で、東南アジア諸国の密林で沈丁花科アキラリア属の木から採取される香木の一種です。

この香木の木片をバーナーで燃やすことにより、強く、甘く、清々しい芳香が周囲に漂います。ローカルの家庭では、これを主にルームフレグランスとして楽しむのです。

どのような香りかを体験するために訪れたのが、ここ、ドバイ・フェスティバル・シティーにある『ヤス・ザ・ロイヤルネーム・オブ・パフュームス』。重厚感がある雰囲気で、ウードがショーケース内いっぱいに並べられています。

このサイズや形が様々な木片が、ウードです。

アガーの木が菌に感染すると、傷を癒す為に芳香を放つ樹脂を出し始め、その部分の木片がウードとして香料に利用されています。

とても収穫が困難でレアなので、例えばウードから取れるオイルは世界一高価だと言われています。

なお、マレーシア、ミャンマー、インドが、ウードの人気の産地とのこと。

この小さなかけらを、『Mabkhara(マブカラ)』と呼ばれる金属製のバーナーに入れて、火を付けます。すると、ウードに含まれたオイルが出てきます。

小さいかけらで約2センチ x 7ミリほどしかないのに、燃やし始めた途端、強い芳香を放ち始めたので、ビックリ!それが、強くても全く嫌味でなく、もっと嗅ぎたい気持ちにさせるミステリアスな香りなのです。筆者の洋服やバッグにも、香りが移りました。

ウードの凄い点は、30秒前の香りと現在の香りが微妙に異なること。天然素材の特徴で、少し時間がたつと、更に違う香りに変化して行くという、不思議な体験をしました。

ちなみに、ウードは、別名アガーウッド。香水、オイル、バフールと、全ての原料となります。これに『トム・フォード』などの有名ブランドがインスパイアされ、ウード入りの香水を作ったことも、有名です。

アラブで最も伝統的かつ人気の香料が、このウードに集約されるため、”全ては1本のウードから始まった”と言っても過言ではありません。

お値段は、こちらのショップで、最も安価なウードが12gで100ディルハム(約2,800円)。高級なもので、1kgが約4,000ディルハム ~ 10,000ディルハム (日本円で約11万1千円 ~ 27万8千円)!

高級品になると、燃やして香りを楽しむためでなく、玄関に飾って自慢するために使用されます。

Bakhoor(バフール)

バフールは、ウードをパウダー状にしたものに、オイルやその他の材料を加えたもの。
ウード同様に、バーナーで燃やし、煙による香りを楽しむものです。

ウードとの違いは、バフールの方が値段が安価であること、配合により、香り方が安定しているところです。

バフールの主な用途は、外出前の総仕上げとして、衣装に焚きこめること、これが、ルームフレグランス以外に重要な使われ方です。焚きこめる方法として、マブカラの上をまたぐ方法もあります。また、ウェディングやリラックスしたい時、また客人をもてなす時にも焚かれます。

ちょうど取材中に、アバヤを着たローカルの女性たちがショップに立ち寄り、もくもくと焚かれたバフールの煙から、アバヤに香りを移しているのを見ることができました。

宗教上写真を撮ることは出来ませんでしたが、手で煙をあおぐようにして、楽しそうに衣服に香りをつけていたのが印象的でした。

なお、バフールの値段は、 1個(250g)300ディルハム ~ 500ディルハム(日本円で約8,300円 ~ 13,900円)と、内容量を考えるとウードより安価です。

こちらが、ウエディング・ギフト。伝統的に、ウードからできた高級なオイルを美しいボトルにたっぷり入れて、プレゼントするのが人気だとか。

ウード、バフール共に、添加物なしのピュアな製品です。

天然香料特有の”先が読めない香り”の魅力を知ってしまったからか、取材後に立ち寄ったショップで、一般的なブランドのフレグランスを香ったら、かなり物足りなく感じてしまいました!

いかがでしたか?

アラブの香料文化は奥が深いのですが、その中から、ほんの一部をお届けしました!

「西洋文化にとって、香りとは自分を良く見せる武器のようなもの。アラブの人々にとって、ウードの香りは”お守り”のようなもの。

厳しい気候環境に耐えながら、産まれた時から家庭で焚かれ、この伝統的な香りとともに育つ。だから現代にも残る習慣となった」と、パフューム・市場開発会社の副社長、ブリジット・ウォームサーさんの言葉があります。

その通りで、若い世代でも伝統的なお香を、香水と同様に当たり前に楽しむ文化が、エレガントで素敵に思います。現代の香水に、産まれ育った家庭の香り(ウード・バフール)をミックスすることで、人と違う、自分だけの香りになる。それによって、守られている気持ちになる、アラブの人々・・・・・・。

アラブの人々にとって、自分が最も安心できる、大切な記憶と結びつく”安らぎの香り”が、独自の香りを作る”隠し味”だったことを発見した、今回の取材でした。

では、مع السلامة マッサラーマ(また会う日まで)!






【取材協力】

Yas The Royal Name of Perfumes ・・・Abdulla Al Qaissieh(アブドゥラ・アル・カイセー)により設立された、アラブ首長国連邦のフレグランス(バフール、ウードなどを専門に扱う)会社。Yasという会社名は、湾岸地域とアラビア半島において繁栄し、後に王族となったBani Yas Tribe(バニ・ヤス族)から取ったもの。

1999年アブダビにて最初の店舗をオープンし、現在アラブ首長国連邦及び中東諸国で42店舗を持つ。古代のフレグランスを徹底的に研究し、現代のフレグランス技法に取り入れるなど独自の開発を行う。日本からもホームページから、オンラインショッピングが可能。

【参考】

Arabia's favourite scent - alpha. magazine

香水の歴史 - 有限会社 武蔵野ワークス

【画像協力】

・Abdulla M. Al Khalifa(アブドゥラ・ハリファ)・・・赤いインテリアとバフールの写真担当

・ffela(フィーラ)・・・アバヤを着た女性たち5名の写真担当

・Ahmad Fuad Morad(アーマッド・フアッド・モラッド)・・・アガーの木の写真担当






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